ぽかぽか陽気のとある日、某電気メーカの、とある工場の6Fの設計棟から外を眺めると、頭にタオルを巻いた人たちがごろごろと芝生の上に寝そべっているのが見えた。
そう、いわゆる『庭師』と呼ばれる造園業の方々だ。きっと10時の休憩だろう。
毎日毎日、上司に、わけらからんこと言われて、日に日に仕事がつまらなくなっていくのとは対照的。その、のどかで楽しそうな様子が羨ましかった。
(もっとも彼らは『仕事中』ではなく『休憩中』なのだから当然か・・・)。
とはいえ、「いつかはアレ、やってみたいなぁ~」と・・・。その思いは案外早く実現した。ちょっと暑い6月の天気のいい日、「あ~気持ちいい!」と芝生の上に寝そべる自分がいた・・・。
さて、この造園業、一度会社を辞めたあとにやったとはいえ、自分がやってみたかったというだけで、『ノーリスク起業』というキーワードとは、はあまり関係ないものだと思っていました。
でも実際にやってみると、流石は『職人さん』の世界、『効率よく仕事をする』というアイディアの宝庫だったので、経験を振り返って今回は取り上げてみたいと思います。
ダラダラと体験記を書いても仕方ないので、ポイントだけ・・・。
まず、決まった時間に休憩を取る。これは、力仕事という理由もあるかも知れません。でも、残業まで、だらだら仕事して、そのくせ、能率の上がらない人って、いますよね。
それは、『単に残業代を稼いでいる』人、あるいは、『俺様は沢山仕事をしている』と言いたい人なのかと思います。
残業を沢山している人には、雑務はあまり入ってこないし、そもそも『残業している=仕事している』という発想自体が私個人としては、あまり好きではありません。
さて、職人さんの場合は、日が昇ってから沈むまでが勝負。だから残業もない(できない)ため、効率が求められます。それでも、毎日休憩は、きっちり10時から30分、12時から1時間、3時から30分取ってました。
それから道具。もちろん、草刈り機などのように日々進化しているものもあります。先端がゴムベラのようなヤツを使ってました。それが削れて短く?なってくると、リール状に巻いてあって、少しずつ引き出すというユニークなものです。
それ以外にも昔からある道具として、熊手(ここが元祖か?!)や一辺1.5m程度の草や木の枝を運ぶ直方体の箱。布と骨組みで折り畳み式のコンテナみたいなもの。それから草刈とセットで行うネット(網戸みたいなもの)などがあります。
これらも『刈り取った枝木だけをかき集める(熊手)』『枝木の重さと一人で扱える大きさ(コンテナ)』など実によく工夫されて作られています。
それから基本的な仕事上のルール。たとえば、機敏に動くが、走ったりしない(体力温存のため)。一つの作業を中断しないで最後までやる(効率とその作業のミスを防ぐ)などシンプルではあるが、参考になることが多々ありました。
そしてなにより、作業第一なので、どっかの会社みたいに、誰かの足を引っ張って邪魔したり、いやがらせをしたりする人が居ない。やはりこれが何よりです。
即、けがや事故につながることもあるので、変なことをしていれば、親方に怒鳴られたりもします。でも『ウラ』がなくて、ねちねち言ったりせず、実に清々しいです。
体力的な面と、収入的な面で、『ノーリスク(=十分できる、十分もらえる)』なら、この仕事、続けてもいいかな・・・とも、ふと思いました。