公園を散歩していて、ふと気が付きました。
「なんだかアノ『染井吉野』まわりの株と花期がずれてるなぁ~」
近所の『染井吉野』の株が強風で小枝がちぎれていました。
それを拾ってソノ『染井吉野』と並べると、何と
花自体は見分けがつかない程そっくりなのに、「ソノ『染井吉野』」の方が一回り大きいことに気付きました。
「これは『染井吉野』じゃない『そっくりさん新種』だ!間違いない!!」
確信しました。
そこで、その公園の名前にちなんで
『武蔵台吉野』
と名付けました(私が勝手に!(笑))。
翌年、桜の咲き始めた時期、事件は起こりました。
「静岡県の開花宣言が、ちと早いのでは?」
というのです。
桜(染井吉野)の開花宣言は、各都道府県で定めた『標本木』と呼ばれる一本の株の開花数で決められています。
どうも静岡の『標本木』厳密には『染井吉野』ではないのでは・・・と大騒ぎになりました。
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の著者としても有名な勝木俊雄氏のDNA判定によると
「桜としての分類上は『染井吉野』だがDNA上は全く同じものではない
(32か所計測し、11か所で遺伝子型が異なっていたとのこと)」
という判断でした。
そう、私が推測するに、この『武蔵台吉野』は、この静岡の標本木の
『なんちゃって染井吉野』
と同じものではないのか?という結論です。
標本木とは?
毎年、桜(染井吉野)が咲く季節になると、東京では靖国神社境内にある『標本木』の様子がニュースで伝えられていますよね。
沢山の報道陣が駆けつけ、気象庁の担当者が
「本日、東京都の開花を宣言します」
と一言。これが東京の風物詩となっています。
いくら『染井吉野』が一斉に咲くといっても、数輪で開花を宣言しなくてはいけないので「基準が必要」という訳です。
しかし、その標本木が『染井吉野』でなかったら・・・
染井吉野の鑑賞価値
なぜこれほど、日本人は『染井吉野』という栽培品種にこだわるのでしょう?
答えは簡単!そのひとつは
「観賞用の桜として価値が高い」
からです。
公園や学校、そして街路樹などに植えられた場合を想定すれば
・花付き(花の数のこと)がよい
・花が咲き切ってから葉が出てくるので見栄えがいい
・病害虫に強い
などが挙げられます。
さらにその中でも
『花が咲き切ってから葉が出てくる』
というのが、かなりのポイントで日本中に普及した大きな理由の一つと言われています。
その特徴から
「『染井吉野』は自生種『大島桜』と『江戸彼岸』から作出された」
といわれ、遺伝学研究所では、証明のためにこの組み合わせの桜からできた株を採取したり
交配したりしました。
結論として、あまり『染井吉野』に似たものが作出できませんでした。
それらは、それぞれ
『伊豆吉野』『舩原吉野』『帝吉野』『天城吉野』
と命名され桜の時期には『小石川植物園』で見ることができます。
つまり『武蔵台吉野』のような『そっくりさん』は大発見なのです!
[注意]「染井吉野鑑賞」には個人差があります。あくまで自己責任でお願いします